路線ガイド


路 線

営業線

現在、有間電鉄が旅客営業を行なっている鉄道路線は以下4路線である。

・本線:梅田~(山口)~有間温泉 

・三田線:山口~三田

・空港線:昆陽~伊丹空港 

・公園都市線:新道場駅~ウッディタウン中央駅

大阪屈指の繁華街「キタ」の中心地である梅田から、日本三古湯に数えられる名湯・有間温泉や、関西における国内線の発着拠点である伊丹空港(大阪国際空港)、さらには北摂三田ニュータウンを結ぶ路線網となっており、観光・通勤・空港アクセスという複数の輸送需要を担っている。

 

各路線における線路設備及び保安設備等のデータは以下の通りである。

・線路軌間:1,435mm(標準軌)

・路線記号:AM(AriMa)

・複線区間:梅田駅~山口間、山口駅~新道場間、昆陽~伊丹空港間、新道場~ウッディタウン中央間

・単線区間:山口駅~有間温泉間、新道場~三田間

・電化方式:直流1,500V架空電車線方式

・閉塞方式:自動閉塞式

・保安装置【旧】:有電型ATS【AF軌道回路方式・連続照査型ATS】

・保安装置【新】:Ai-ATS(アイ・エーティーエス:Ariden Intelligent Automatic Train Stop)【多情報連続制御式ATS】

・運行管理システム:ASTRAC(アストラック:Ariden Safety Traffic Control System)

・最高速度:100km/h

 

廃止された駅・信号場

・鋳物師駅(いもじ)

空港線の前身、昆陽線の大鹿~鋳物師間延伸により1940年に開業。大阪機工猪名川製造所の最寄り駅として多数の工員が利用したが、伊丹空港への延伸区間建設にあたり廃止され、至近に新設された北村駅が代替となっている。

・丸山信号場

山口駅付近の複線化工事進捗により1975年に廃止。これより以前は単線区間(有間方)と複線区間(宝塚方)の境目にある信号場として、列車の行き違いが行なわれていた。なお、信号場跡は再整備のうえ1986年に北六甲台駅が開業した。

・夫婦松信号場

丸山信号場と同日に廃止。こちらは本線の宝塚方面と有間温泉方面の分岐部にあった。

・中野信号場

中野駅への格上げにより廃止。

 

営業路線概略

本 線

梅田駅(大阪府大阪市北区)から有間温泉(兵庫県神戸市北区)を結ぶ鉄道路線。ラインカラーは有電のコーポレートカラーの一つで有間温泉の金湯を連想させる「オレンジ」、駅ナンバリングではAM01(梅田駅)からAM28(有間温泉駅)が割り当てられている。

路線名称の通り有電の主要幹線である。梅田~昆陽間では普通・急行・特急を合わせると日中時間帯でも1時間あたり16本もの電車が運転されている。特急は1時間あたり3本が一部座席指定制で運転されており、有間温泉・伊丹空港へのアクセスを担っている。

尼崎~宝塚間は大庄駅付近のカーブを除けば直線もしくは緩やかなカーブをえがく線形で、最高速度100km/h運転が実施されている。宝塚駅~山口駅間は最大40パーミルの急勾配が存在する山岳区間である。山口駅を境に進行方向が変わり、線路も単線となる。山口~有間温泉間は最急勾配が33パーミルに落ち着き、約4km南下すると湯のまち・有間と六甲山への玄関口である有間温泉駅に到着する。

経由地が少し異なるものの、JR宝塚線(福知山線)及び阪急宝塚線と競合関係にある。また、大阪と有間温泉を直結する公共交通機関としては有間急行線(阪急バス)、有間エクスプレス号(西日本ジェイアールバス・本四海峡バス)とも競合している。

 

三田線

山口駅(兵庫県西宮市)から三田駅(兵庫県三田市)を結ぶ鉄道路線。ラインカラーは有電のコーポレートカラーの一つである「プラム(赤紫色)」、駅ナンバリングではAM26(山口駅)からAM30(三田駅)が割り当てられている。

1912年に開業した有間電気軌道を出自とする有電最古の路線であり、現在でも一部箇所には石積み擁壁や橋脚が残存している。山口~新道場間は公園都市線(後述)の列車が通るため運転本数も多いが、新道場~三田駅間は日中1時間あたり4本(有間温泉発着の普通2本と梅田発着の準急2本)の運転となる。

兵庫県内外を問わず有名な「二郎いちご」の農園や直売所が軒を並べる二郎駅、厄除け・厄祓いの神社として地元の人々に親しまれる塩田八幡宮の最寄り駅である塩田駅が位置しており、それぞれいちご狩りや祭礼の時期には利用者が集中するため臨時改札設置や臨時列車運転などの対応が行なわれる。

 

空港線

昆陽駅(兵庫県伊丹市)から伊丹空港駅(大阪府豊中市)を結ぶ鉄道路線。ラインカラーは空を連想させる「ブルー」、駅ナンバリングでは起点がAM26(昆陽駅)、次駅からAM41(昆陽池公園駅)に変化した後、AM44(伊丹空港駅)までが割り当てられる。

元々は昆陽線として大鹿駅まで開業した支線であり、有電が開発した住宅地・遊園地へのアクセスを担っていた。1940年に鋳物師駅へ延伸した後、1960年代に大阪国際空港への乗り入れが決定し、1970年に伊丹空港駅まで延伸開業した。

日中1時間あたり9本(特急3本・急行3本・普通3本)が運転されている。

 

公園都市線

新道場駅(兵庫県神戸市北区)からウッディタウン中央駅(兵庫県三田市)を結ぶ鉄道路線。ラインカラーは緑豊かなニュータウンを連想させる「グリーン」、駅ナンバリングでは起点がAM28(新道場駅)、次駅はAM51(フラワータウン駅)に変化した後、終点にAM53(ウッディタウン中央駅)が割り当てられる。

1980年代より街開きが始まり、30年近くが経過した現在でも一部区画で新規分譲が進む北摂三田ニュータウンの基幹路線である。路線の性格上、全列車が本線と直通運転を行なっており線内折り返し列車は異常時でも滅多にない。

北摂三田ニュータウンの計画当初は、国鉄福知山線をニュータウン中央地区(ウッディタウン)経由のルートに移設し、移転前の国鉄三田駅付近一帯ならびにニュータウン南地区(フラワータウン)の輸送は有電三田線及び新設する北摂線に分担する計画であった。しかし、国鉄三田駅の移転に市民が猛反対したことから国鉄福知山線は概ね従来の駅を経由するルートで複線化されることとなり、北摂三田ニュータウンの鉄道輸送は有電に一任されることになった。

大阪への輸送シェアを巡りJR宝塚線(福知山線)と競合している。また、大阪から30km圏内という物理的な近さと道路網の発達もあってか自家用車とも競合状態にある。

 

運行形態

梅田方面に向かう列車が上り、伊丹空港・有間温泉・三田方面へ向かう列車が下りとされている。

2023年現在施行されているダイヤでは特急・急行・準急・普通が運転されており、列車の編成両数は種別や運転区間によって4両・6両・8両・10両編成に分かれている。

以下に各列車種別ごとの詳細を記す。

 

特 急 Special Express

有電における最上位速達種別であり、一部車両は座席指定制となっている。

 

【空港線直通系統】停車駅:梅田駅・尼崎駅・昆陽駅・伊丹空港駅

通称「空港特急」

大阪国際空港(伊丹空港)への空港アクセスを担う。所要時間は約25分と梅田発着のリムジンバスとほぼ同じである。かつては途中停車駅が尼崎のみの列車も存在したが、関西国際空港の開港や昆陽駅の乗車機会拡大を目的に廃止された。

 

【有間温泉系統】停車駅:梅田駅・尼崎駅・昆陽駅・宝塚駅・なじおテラス駅・山口駅・有間温泉駅

通称「温泉特急」

有間温泉への観光客輸送を使命とする。 有間温泉駅のホーム有効長が短いことから4両編成で運転される。また、山口駅でスイッチバックを行なうため、山口~有間温泉間では座席の向きと進行方向が異なる(有電の特急車両は乗客による座席転換ができない仕様である)。

 

【公園都市線直通系統】停車駅:梅田駅・尼崎駅・昆陽駅・宝塚駅・なじおテラス駅・山口駅・新道場駅・フラワータウン駅・南ウッディタウン駅・ウッディタウン中央駅

通称「公都特急」

北摂三田ニュータウン(三田市)及び神戸リサーチパーク(神戸市)からなるニュータウン「神戸三田国際公園都市」への速達サービス提供のため、1996年に運転を開始した特急。梅田~山口間では有間温泉系統の特急と併結する。

 

急 行 Express

【空港線直通系統】停車駅:梅田駅・野田駅・尼崎駅・稲葉荘駅・武庫駅・昆陽駅・昆陽池公園駅・大鹿駅・北村駅・下河原駅・大阪空港駅

稲葉荘・武庫の2駅に加えて空港線内の各駅にも停車するため、尼崎市・伊丹市沿線住民への速達サービス提供を主軸とした種別である。

 

【公園都市線直通系統】停車駅:梅田駅:野田駅・尼崎駅・稲葉荘駅・武庫駅・昆陽駅・安倉駅・宝塚駅・名塩駅・なじおテラス駅・北六甲台駅・山口駅・二郎駅・新道場駅・フラワータウン駅・南ウッディタウン駅・ウッディタウン中央駅

 

普 通 Local

運転区間内の各駅に停車する。

基本的な運転区間としては梅田~山口・三田間、昆陽~大阪空港間に分けられる。数駅ごとに後続の速達列車との接続または通過待ちを行なうことから、基本的に「最寄り駅から主要駅で速達列車に乗り継ぐための列車」として捉えてよい。

山口~有間温泉間及び新道場~ウッディタウン中央間においては早朝・深夜時間帯や異常時以外では普通電車の運転は無く、上位種別の急行・特急が停車することで普通の役割を代替している。